呑気なハト2011年04月03日

◯吉祥寺の駅前バスロータリーでバスを待っていた時の事。


 バス停には何人か並んでいて、僕はその列の中で携帯をいじっていたんです。
 つまり周りを見ていなかったという状況。


 この時、バスロータリーの中心で何かが起こったららしく、数人が
 「あ~~…!」
 と、何かヤバげな事が起きそうな声を上げたんです。

 何事かと思い、携帯をいじるのをやめて僕も見てみたんですが――


 何が起こっているのか全然分からない。


 一方、その異常事態に気付く方が少しずつ増え、再び、
 「あ~~…!」
 と、悲痛にも似た声が上がる上がる…


 やっぱり何が起こっているのか全然分からない。
 取り残されているような感覚です。


 どっきりカメラか?
 はめようとしているだろ、このオレを。

 ――そんなワケはなく、だけどバスターミナルでは何かが起こっているのは間違いない。


 悔しさと好奇心から(よくないな…)、バスを一本逃して周囲を隈無く観察。


 そしてようやく分かったんです。


 バスロータリーの真ん中で、呑気なハトがとことこ歩いていた――
 バスに轢かれそうになってもどこ吹く風。
 飛び立とうともせず、平然と歩いている。

 それだけ。


 たしかに彼がバスに轢かれそうになると、
 「あ~~…!」と声を上げそうになります。
 なんかハラハラする。

 原因が分かってなるほどと思うと同時に、これだけのためにバスを一本逃したのか…という苦々しさも。


 見ている内に、あまりにいたたまれなくなったおばちゃんが、ハトを道路の脇に追いやろうとしたんです。
 そのおばちゃんにびっくりしたのか、ようやく翼を広げて飛び立とうするハト。

 だけどその時、たまたま通りかかった自転車に激突。
 ひっくり返るという。
 なにその奇跡的なタイミング…
 もちろん大事に至らず、ハトは平気な感じで飛んで行った――そんな顛末です。

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